水産業

水産資源の適正な管理で干潟の再生と有明海の復活を目指す

提 案

  1. 漁場を保全するために、沿岸に流れ込むさまざまな有機物を底生生物などで分解する生物相の豊かな干潟を適正に保ちます。底生生物などで分解する生物相の豊かな干潟を適正に保ちます。
  2. 環境保全漁業で干潟の富栄養化を防ぎます。
  3. 船舶や漁労機械の発達に伴った、一網打尽の工業的な漁業ではなく、自然の再生サイクルを超える漁獲はしません。
  4. 素潜り漁や海女、一本釣り等々の漁業文化を大切に保全します。
  5. 有機物を栄養として取り込み、水を吐き出すことで水質浄化をする二枚貝で干潟を再生し漁場を守ります。
  6. 海藻(ノリ・ワカメ・コンブ)や二枚貝の養殖にあたっては、現行の給餌型養殖ではなくて、海水中の無機栄養塩を太陽光エネルギーを利用(光合成)して取り込みやすくする無給餌(エサをやらない)型養殖にして、沿岸の復元力を取り戻します。
  7. 二枚貝類も有機物を含んだ海水での養殖で、無給餌型養殖をします。
  8. 魚類は、魚肉を与えるのではなく、大豆タンパクなど、植物系飼料に切り替えます。
  9. 漁業者は申し合わせて、稚魚(貝)は、一定の大きさになるまで採らない申し合わせを守ります。
  10. 漁業者は申し合わせて、一定の量以上のものは採らずに、保護する申し合わせを守ります。

取り組み事例

  1. FUバイオカルチャーによるアサリの無給餌(むきゅうじ)養殖
  2. 川辺川を守りたい女性たちの会による尺鮎トラストの取り組み
  3. 天明水の会による漁民の森づくり
  4. 芦北高校林業科による山と海を繋ぐ「海の森づくり」の取り組み

事例1 熊本県のあさりの漁獲量復活のために

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日本一の漁獲高を誇っていたアサリが、熊本県の干潟から消えてしまいました。二枚貝は「天然のろ過装置」なのにです。そこでUFバイオカルチャーでは、社長の藤芳さんの30年にわたる二枚貝の研究を基に、対策として稚貝(約10ミリに育ったもの)を干潟に播く(億の単位で!)計画をたて、アサリの産卵、孵化、育成の実験に取り組んでいます。エサは人工のものを一切与えない。育成実験は屋内で行う。漁業振興のためなのだから、出来るだけ安く漁業者に提供できるよう、道具は極力安い材料を使い手作りしています。育成装置には富栄養化した海水をパイプでひき、それにネットをかぶせて供給。網目はそれぞれの生育状態で大きさを変え、一定の大きさに育つと次のところに移動。砂はなく、アサリ同士がお互いを砂と思って育っている。砂抜きの必要のないアサリが育っている。このプラントをそのまま利用しても高齢者のアサリ漁業になり、地域は活性化するはずだ。アサリには水管が2本あり、1本で海水を取り込み、2ミクロンのスリットの入ったエラに引っ掛かったものを食べ、水はもう1本の水管で吐き出す。2枚貝が天然のろ過装置と言われる所以であり、UFバイオカルチャーの排水のところには海藻が茂り、魚がそれを食べに寄ってくる。魚が草食であることを再認識する風景がそこにはあります。アサリは食料としてはセルロースを分解し、低脂肪、高たんぱくの貴重な食べ物。環境には豊かな漁場を育てる干潟の天然の浄化装置なので、この研究が進み、有明海の干潟にアサリ貝の稚貝が元気に育つ日が待ち遠しい。でも、アサリ漁が出来るまでに育ったら、藤芳さんの言葉で「神様の微笑む範囲」を共有し、一定の大きさに育つまでは採らないということを誰もが守れる漁業でありたいものです。それが漁場だけではなく、経済も持続可能な漁業の創出なのではないでしょうか。    

(大住 和子)

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事例2 鮎を買って川を守る「尺鮎トラスト」

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色・味・香の三拍子が揃い全国の釣人を魅了する球磨川の鮎。中でも尺鮎は市場に出回らず高級料亭でしか味わえません。その尺鮎のふるさと川辺川をダム建設の危機から守ろうと、2001年熊本の女性たちが球磨川の漁師さんと手を組み始めたのが全国初の「尺鮎トラスト運動」です。「たった16億円で川を売らないで、私たちが鮎を買うから!」。国が提示した漁業補償案に揺れる漁師さんたちを支えるため全国の消費者に「アユを食べて川を守ろう」と呼びかけた球磨川・川辺川鮎の産直運動は、ふるさと自然を守りたいとの意思を込めて消費者が鮎を購入するまさに地方発グリーンコンシューマー運動です。鮎の美味しさに驚嘆したと全国から寄せられる反響の大きさは予想をはるかに超え、ダム建設に反対する漁師さんを物心両面で支える力となり、2009年の樺島熊本県知事による川辺川ダム建設計画白紙撤回宣言へとつながりました。しかし、山が荒れ、川は痩せ、球磨川・川辺川から鮎が姿を消しています。2014年3月に始まった荒瀬ダム撤去工事は本格的な川の再生に向けた取り組みの第一歩です。遡上する鮎の群れが帯のように川面を埋めつくす風景を取り戻したいと願っています。

(原 育美)

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