いのちを育む健全な水の循環
提 案
- 山・川・海をつなぐ水循環を目指します。
- 上流域の森を自然生態系に配慮した森林保全に努め、適切な人工林の間伐を進め、森林の持つ多面的な機能を高度に発揮するため針広混交林等の多様な森、モザイク林へと誘導します。
- 大きなダム建設を止め、上流域の豊かな養分が中流域の河川浄化を経て、海へ提供される様に変えていきます。
- 水害に対しては、中流域の遊水地での水量の緩和と適切な堤防により対応し、ダムによる治水を行いません。
- 山・川・海をつなぐ社会理念を構築し、山川海に連なる持続可能な水の利用を進めます。
取り組み事例
- 住民運動による川辺川ダムの建設中止と荒瀬ダムの撤去
- 立野ダムによらない自然と生活を守る会による立野ダム建設中止運動
- 川辺川を守りたい女性たちの会による尺鮎トラスト運動
- 都会の消費者に球磨川の鮎を産直し、ダム建設に反対する漁師を支援
- 清流球磨川・川辺川を未来に手渡す流域郡市民の会や、子守歌の里・五木を育む清流川辺川を守る県民の会による川辺川ダム建設反対運動
- 江津湖の自然と水を守る会による水前寺のりの復活
- 大井手を守る会による熊本市街地でのホタル復活
- ブナの森を育てる会によるブナの森の育成
- 不知火海・球磨川流域圏学会による学融合的な研究および実践的取り組み
事例1 住民運動による荒瀬ダム撤去
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球磨川では、日本初の大型ダムの撤去事例となる荒瀬ダムの撤去工事が平成24年9月から行われています。荒瀬ダム撤去は、川辺川ダム計画中止と同様、球磨川本流の3つのダム建設以来発生した水害被害や河川環境の悪化に耐えかねた流域の住民運動により実現しました。現在、水位はすっかり下がり、ダム湖だったところは蛇行する川本来の形態が戻り、ダム湖に堆積していた土砂の放流によって、干潟に砂が供給され始め、アマモ場の面積も数倍に広がっています。ダム建設前には程遠いものの、ウナギやアナジャコ、イカ、エビ等などの魚介類にも増加の兆しが見え始めています。この事例を、これまで荒瀬ダムという河川横断構造物が止めていた土砂や生き物の移動が自由になり、流域の上流からの栄養塩や土砂が下流や干潟に運ばれ、ウナギやアユ、カニ等が海から上流に戻るという、健全な流域では当たり前の生物や物質循環を見直すきっかけにして、球磨川・不知火海の再生に取り組むことが住民にも行政にも求められているように思います。ここでのダム撤去を通して、地域の経済基盤はその自然資源の上にあることを再認識し、全国の河川政策を再考する契機にもしてほしいものです。
(豊かな球磨川をとりもどす会 事務局長 つる 祥子)
[/col][/row]事例2 立野ダム建設を中止し白川の河川改修を進める取り組み
[row id="ROW_ID" class="ROW_CLASS"] [col class="span4"] [/col][col class="span8"]熊本が世界に誇る阿蘇の外輪山の唯一の切れ目に、「洪水調節」だけを目的とした高さ90mもの立野ダムがつくられようとしています。しかし、「立野ダムという言葉は聞いたことがあるが、どんなダムなのか、何を目的につくられるのか、どこにできるのか知らない」という人がほとんどです。国土交通省は、立野ダムのことを住民に何も知らせずにダム建設を進めようとしています。立野ダムによる洪水調節には「穴あきダムの穴が流木等でふさがれば洪水調節できなくなる」という致命的な欠陥があります。阿蘇は日本を代表する活火山であり、ダム完成後、火山活動等により地盤が動けば、ダム本体と周りの地盤の間にすき間が生じ、最悪の場合、ダムの崩壊へとつながります。環境面から考えても、ダム予定地の立野峡谷は国立公園の特別保護地区であり、立野ダムで水没する北向谷原始林は国指定の天然記念物です。人類の財産である世界の阿蘇を守るためにも、立野ダムより河川改修を進めるべきです。私たちは2012年5月に会を結成して以来、チラシ配布や署名活動、学習会や集会を継続的に開催してきました。また、国土交通省や熊本県へ意見書や抗議文を何度も提出しました。そして今回、立野ダムの問題点をまとめた『ダムより河川改修を』(花伝社・864円)を出版しました。世界の阿蘇と白川を未来に手渡す活動へのご参加をお願い致します。
(立野ダムによらない自然と生活を守る会 事務局 緒方紀郎)
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