農業

土に触れ作物を育てる農的暮らしが多様な生命を育む

提 案

  1. 「落ち葉や動物の排泄物で土が肥え、その土に種が育ち、花が咲き、虫により受粉する」この様な生命連鎖の結果としての農作物により人が生かされていると認識します。
  2. 農業が人に与える多面的な効果が広く告知・教育され、非農家も認識しています。(地下水の涵養、生物多様性の維持、癒しの空間、緑地、空気 他)
  3. 地域伝統の農作物を、旬に、多様に安全な手法で生産します。
  4. 農業の育成過程に着目し、他の産業とも連携して中間資源を地域で循環します。(藁、畜産廃棄物による肥料、バイオマス発電 他)
  5. 農作業機械や道具は組合や近所で共有管理し、管理費の低減を図ります。
  6. 生産システムそのものが海外へ移行される事無く、熊本の地に根ざした地産地消をベースとしたブランドを維持しています。
  7. 農産物は、地域の直販所や周期的な市場(マルシェ)、飲食店や消費者へ直接届ける産直の仕組みで提供され、生産者と消費者の顔の見える関係が基本です。
  8. どの様な経過の農産物か、消費者に分かり易いラベルで表示・提供しています。
  9. 生産物や地域資源を活かした新事業を農家の手で創出します。(6次産業化)
  10. 新規就農者(学生や転職社会人)への教育・研修の仕組みを確立します。
  11. 各自治体や農業管理団体で、耕作放棄地が把握・管理される仕組みがあり、その維持として、新規就農者への用地として提供(借地・譲渡)します。
  12. 学生や社会人、障害者の農作業体験や環境教育、地域住民や都市生活者の交流、研修生の教育等、農業生産以外の多面的な活動を実践します。

取り組み事例

  1. りずむ農園(熊本市)による無農薬・有機栽培の旬の農産物セットの産直販売
  2. 農業組合法人「美里ゆうき協同農園」による地野菜の種の栽培や、地元の障がい者へ農作業の場を提供、老人ホームとの交流事業の実施
  3. ぽっこわぱ耕文舎(南阿蘇村)によるバイオダイナミック農法での無農薬・有機の生産と研修生の育成
  4. 阿蘇地域による野焼きなどの草原を活用した農業への取り組み
  5. 玄米パンの専門店「玄氣家(大津町)」による耕作放棄地解消や食料自給率の向上を考えた、県内各地の農家との栽培契約の実施
  6. 地下水涵養米「水の恵み」が市内各所で販売され、ウォーターオフセットの取り組みが行われている
  7. おがた農園(御船町)による有機無農薬での米と野菜作りの実践と農産物の商品化やカフェ(Organic Cafe そらのもり)の運営
  8. ハナウタカジツ(熊本市)による旬な果物を栽培や、若手農家たちと定期開催の市場「Uekiもんマルシェ」の開催
  9. 養豚事業の農業生産法人セブンフーズ株式会社による発酵床で糞尿処理や、食品リサイクル資源からの飼料製造の取り組み

事例1 無農薬有機農業40年地域の自然循環から消費者へ

[row id="ROW_ID" class="ROW_CLASS"] [col class="span4"]

nougyou-01

[/col][col class="span8"]

公害問題(カネミ油症)で、自然(人)に負荷を掛けない生き方を目指した緒方意一郎さんは、40年前に脱サラから御船町七滝に就農して以来一貫して中山間地での無農薬有機農業を実施してきました。残菜で飼育している鶏の糞と刈り払いした草を畑に入れ肥料とし、自給を基本として注文分を組み入れた年間生産計画を立て、全国の消費者へ直接届けるのが基本です。40年間様々な話がありましたが、有機農業は手間が掛かるので大規模化出来ません。また、作りたい物を生産出来る喜びがあります。「昨年はゴマを作ってみました」と笑顔で話されました。「有機農業はやる事が多く、出来るだけ有る物で機材や資材も最低限でやってきたので、振り返ってみれば、世の中の景気や事件や動向に殆ど影響されなかったですね」との言葉から、持続可能な農業(地域循環)の重要な一面(強み)を再認識しました。最近では、おがた農園農産物から、オリジナルの生姜シロップを商品化し、また、「Organic Cafe そらのもり」を開店しています。野菜部門は息子さんが担当し次世代への継続も進んでいる様です。    

(井上 智)

[/col][/row]

事例2 熊本県産米100%で作る玄米パン工房コメノパンヤ「玄氣家」

[row id="ROW_ID" class="ROW_CLASS"] [col class="span4"]

nougyou-02

[/col][col class="span8"]

大津町引水にある農機具の販売会社「(株)中九州クボタ」の片隅に、何やら面白そうな建物が建ちました。興味津々で立ち寄ってみると、玄米を生地にした「玄米パン」を製造販売する初の専門店でした。運営する(株)熊本玄米研究所の瀧尾さんに話を伺いました。中九州クボタの西山社長は、農業の衰退や耕作放棄地の増加を見るにつれ、何とか農業(米生産)の活性化が図れないかと考え、資本金6,000万円のうち半分を中九州クボタが出資し、残りは肥後銀行などが設立した「肥後6次産業化ファンド(農林漁業成長産業化ファンド)」が出資し、研究所を設立しました。1年を通して同じ品質のパンを店舗で販売するには、玄米は酸化発酵が早いので難しい課題でしたが、玄米をペースト生地にすることで目処が立ちました。原料の玄米は県内各地の農家との契約栽培で、耕作放棄地解消や食料自給率の向上にもつながります。また、玄米パンは食物繊維やミネラルが豊富で消費者の健康志向へも応えます。「新しい和食文化として熊本から世界に発信したい」との事です。先程からお客さんが途絶えませんが、私も買って帰るとしましょう。

(井上 智)

 [/col][/row]

事例3 山間部の耕作放棄地を協同で再生

[row id="ROW_ID" class="ROW_CLASS"] [col class="span4"]nougyou-03
[/col][col class="span8"]

2011年に中山間地の再生を目指して、耕作放棄地の再生と有機農業を目指す新規就農者の支援を図る、農業組合法人「美里ゆうき共同農園」を設立しました。熊本県の里山再生支援「里モンプロジェクト」を活用し、美里町の耕作放棄地30アールを農作物生産区画とビオトープ(小さな生態系)や複数の散策コースを含む「オーガニックファームうしろだに」として再生し、「いのちの癒し」「いのちを学ぶ」「いのちを紡ぐ」交流と協同の場として創造と生産を進めています。野菜セットの配送(産直)販売を基本とし、農産物直売所やレストランへの販売、アースディマーケット等イベントへの出店を行っています。また、特別老人ホームと交流し「みゆきの里福祉農園」を造成しました。その他、アイシン九州等の企業や熊本大学・県立大学、湖東学園等の学生、福島の子供達の農業体験と交流を実施しています。2014年に有機JAS認証を取得してブランド力を上げました。今後は、契約栽培や「美里ゆうきかぼちゃ」と命名した地野菜へも注力して行きます。

(井上 智)

[/col][/row]

NPO法人
環境ネットワークくまもと
〒862-0973
熊本市中央区大江本町6-24
TEL/FAX096-362-3776
E-mail  
URL  http://www.kankuma.jp/

NPO法人環境ネットワークくまもと