多様な市民の参加・参画・協働で進める「持続可能な農的暮らしと健康な地域社会」の実現
提 案
- 地域における日々の暮らしの中から湧き出てくる様々な “疑問” や“思い” を、何らかの “形” にして共有し、継続的に議論することのできる「場」を、地域の運営に不可欠な「しくみ」としてつくり出します。
- この「しくみ」を活かすためにも、地域に小さな変化を起こすことのできる「地域公共人材」を育てます。
- 「地域公共人材」のつながりの中から、地域の課題を解決し、いつまでも住み続けたいと思う地域をつくる「地域力」を高めていきます。
取り組み事例
- 熊本市池田での環境保護地区の取り組み
- 肥後の水とみどりの愛護基金による水とみどりの保全活動
- 豊かな地下水を育むネットワークによる「地下水かん養/ウォーター・オフセット」プロジェクト
- かんくまおひさまプロジェクトなどによる市民共同発電所事業
- アースウィークくまもとの取り組み
- アースディマーケット、四つ角マーケット、uekiもんマルシェなどによるマルシェの取り組み
- 熊本市節水推進パートナーシップ会議の取り組み
- 水俣市ゼロウェイスト円卓会議による取り組み
- 環境省九州環境パートナーシップオフィス(EPO九州)によるパートナーシップ事業
- 次世代のためにがんばろ会によるカキ殻まつり
- 植木町ばあちゃん家による取り組み
事例1 池田2丁目の環境保護地区指定
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かつて熊本市に事務局を持つ環境市民会議くまもと(通称エコパートナーくまもと)の実働部隊ともいうべき、WG(ワーキンググループ)の1つに、水と緑WGがあります(現在も独自に活動を継続)。発足時に、活動の柱の一つを「ムササビが飛び交う緑の回廊づくり」としました。ムササビは哺乳類で、日本の固有種です。夜行性で、主に樹上で生活し、若葉、種子、果実、芽などを食べます。特徴は前肢から後肢にかけての被膜を広げて木から木へと飛び移ることです。限られた範囲ではなく、ムササビが自由に行き交え、エサにもなるような大きな広葉樹林や照葉樹林が連なる、緑の回廊づくりは、竹に駆逐されている里山の現状では焦眉の急でした。調査や観察会をする中で、池田2丁目に照葉樹林のコジイなどが繁り、豊かな植生を有する場所を見つけました。そこで、水と緑WGの担当部署の一つであった緑保全課(現環境共生課)と協働で、シンポジウムをし(池田公民館)、地域の方々と一緒にこの問題に取り組もうとしました。それはうまくはいきませんでしたが、担当の方が「県のレッドデータブックに記載されているムササビが生息している」という文言を添えた申請書を提出し、2004年、「緑地17E2」の環境保護地区に指定され、崇城大学とその付近の緑のかたまりとつなぐ地域が保全されることになりました。市民の提案を受けた行政の指定という協働の実現です。現在は、うっそうとした植生自然度の高い、素晴らしい森に育っているので、観察会などを通して地域の方々に素晴らしさを伝え、未来永劫、豊かな生態系を育む森として、保全したいものです。
(大住和子)
[/col][/row]事例2 水とみどりの保全から持続可能な熊本づくり
[row id="ROW_ID" class="ROW_CLASS"] [col class="span4"] [/col][col class="span8"]公益財団法人肥後の水とみどりの愛護基金では、肥後銀行と連携して阿蘇地域での森林の管理・運営事業、水田湛水事業に取り組んでいます。「阿蘇大観の森」52haで植樹や下草刈りを、耕作放棄地を25年ぶりに再生した「阿蘇水掛の棚田」で田植え・稲刈りを毎年実施しています。ボランティア参加者は毎回数百名にのぼり、その昼食は地元婦人会にお世話になり、握飯や豚汁、カレーライスなどを作って頂いています。これらは作業で気持ちよい汗をかいたあとの大きな楽しみであり、まさに地域と一体となったイベントとして定着しています。文化的波及効果もあり、阿蘇市小倉地区では途絶えていた伝統芸能「虎舞(写真参照)」が植樹等を契機に47年ぶりに復活し、地域社会の活性化につながっています。平成25年からは、DVD「水はみんなの命」を活用した熊本の水資源愛護啓発講座を熊本市・大津町・菊陽町で開催しており、環境保全活動の輪は着実に拡がりを見せています。
(公益財団法人 肥後の水とみどりの愛護基金 常務理事 吉津克俊)
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