地域資源と文化・暮らしを守る持続可能な観光
提 案
- 地域の自然環境や伝統的な暮らしを観光資源として活用します。
- 地域住民とともに地域を見つめなおし、地域固有の観光資源を見出します。
- 観光施設の開発・建設に当たっては地域の生態系と景観を壊さないよう配慮し、環境配慮指針を遵守し、工法・材料も慎重に検討します。
- 地域住民が地域資源の価値を共有し、観光ガイドとして案内役を務めます。
- おみやげ品の原料には地域の資源を使用し、地域の農水作物生産者を支援します。
取り組み事例
- 水俣市4地区での村丸ごと生活博物館の取り組み
- 御所浦町での民泊の取り組み
- 美里NPOホールディングスのフットパスによる都市と農村の交流
- TAO塾による健康・教育・環境に関わる取り組み
- 熊本県のエコツーリズム人材育成セミナーの企画・開催
- 阿蘇グリーンストックによる修学旅行の受け入れ
- 環不知火プランニングによる研修生や修学旅行の受け入れ
- 九州ツーリズム大学の取り組み
事例1 村丸ごと生活博物館
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自然、産業、生活文化を守り育てる地区が「水俣市元気村づくり条例」に基づき、水俣市から認定を受け活動を行っています。現在は、頭石地区、大川地区、久木野地区、越小場地区の4地区が村丸ごと生活博物館として認定されています。村丸ごと生活博物館とは、目に見える建物や田畑、目に見えない知恵や言い伝え、昔から受け継がれてきた家庭料理やものづくりの技術など、村の足元にあるもの、生活の全てを展示物として見立てた「屋根のない博物館」です。この生活博物館では、生活学芸員、生活職人をはじめとする地区住民が、村めぐり(集落案内)、食めぐり(家庭料理)、わざめぐり(各種体験)と題して、村の普段の暮らしを楽しむ「生活の旅」を訪問者に提供しています。一人で歩けばなんでもない村ですが、村人の案内と訪れる人達の好奇心が加われば、数え切れない生活の知恵や言い伝えなど、今まで隠れていた村の生活文化や物語が見えてくるはずです。
(水俣市役所 農林水産振興課 農業振興係 前田 砂波)
[/col][/row]事例2 御所浦での民泊の取り組み
[row id="ROW_ID" class="ROW_CLASS"] [col class="span4"] [/col][col class="span8"]熊本県唯一の離島の町である御所浦は、不知火海に面した豊かな自然環境や温暖な気候、白亜紀の恐竜化石などの地域資源を生かし、漁業や農業を営む島民の家に宿泊する「民泊」事業を行っています。2001年に官民合同で発足した「御所浦アイランドツーリズム推進協議会」が、御所浦の各地区にある民家(熊本県から農林漁家体験民宿として簡易宿所の許可を受けている)約30軒と連携し、磯遊びや山菜とり、みかんちぎり、魚とり、魚さばき、伝馬舟の櫓こぎ、化石発掘など、様々な体験学習プランを準備して観光客を迎え入れています。ただ名所を巡るだけの観光ツアーと違い、島の人々とふれあい、ありのままの島暮らしや歴史・文化を学ぶことのできる体験型ツアー(1泊2日~3泊4日)に、年間約1,000名の修学旅行生が訪れています。2010年には、御所浦が日本ジオパークに認定されたのをきっかけに、島民から有志を募って「御所浦ジオツーリズムガイドの会」も設立されました。化石や地質についての講座を受講して資格を取った地元の人たちがガイドとなり、恐竜・化石の島である御所浦のジオサイトを巡るコースが4種類準備されています。
(宮瀬 美津子)
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事例3 「何もつくらない、こわさない」地域を元気にする魔法=フットパス
[row id="ROW_ID" class="ROW_CLASS"] [col class="span4"] [/col][col class="span8"]「フットパス」は、イギリスが発祥で、豊かな農村景観や、森林や古い町並み、人々との交流など、ありのままの地域を歩いて楽しむ活動です。美里町では2010年に取り組み始め、現在15コースを選定し、マップ、道標等を整備し、日常的に歩くことができるようにしています。フットパスの楽しみ方は次の3つです。①定期的に開催されるフットパスウォークへの参加。②ガイドを依頼して自由に歩くガイドウォーキング。③いつでも自由にマップを持ちながら歩くセルフウォーキングです。イベントでは縁側カフェで地域の皆さんと深い交流ができます。ありのままの景観を維持してきたのは、地域の住民の方々です。生業の中で維持されてきた地域を、訪問者が「歩かせていただく」という気持ちを持って、都市と農村の交流が自発的に起きる仕組みです。今、熊本県内はもとより、九州中へフットパスの輪が広がっています。
(特定非営利活動法人美里NPOホールディングス 理事長 濱田孝正 )
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事例2 TAO塾による健康・教育・環境に関わる取り組み
[row id="ROW_ID" class="ROW_CLASS"] [col class="span4"] [/col][col class="span8"]1994年に創立したTAO塾は今年で20周年を迎えた。2年前に念願の宿泊研修施設「TAOリトリートセンター」をオープン。「医食同源から医食農同源」を合い言葉に、クスリを使わない医食農を実践。無農薬自家農園で生命力ある野菜を育て、日本の伝統食をベースにした「懐かしい未来食」を提供し、東洋医学の英知を活用したリラックス&デトックスを体験してもらう養生健康施設で、オーガニック&ローカルをコンセプトにした土日祝日営業のカフェも併設した。阿蘇の自然を舞台に、温泉、パワースポットガイドなども取り入れた心と体を癒すラーニングバケーションのエコヘルスツーリズムを展開していきたいと思っている。小国町木魂館で開催される「九州ツーリズム大学」で講師を担当。「世界で注目される日本の伝統食」について話したが、観光とは、語源は易経の「国の光を観ること」。埃をかぶり、光がくすんでしまった足元の伝統文化を磨きなおしたいと考えている。
(一般社団法人TAO塾代表 波多野毅 )
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