熊本の豊富で多様なバイオマスを地域で活かす
提 案
- 熊本はバイオマス(生物由来の有機性資源)の宝庫であることを認識します。
- 農業や林業の過程や草などの自然から得られる身近な資源であることを理解します。
- バイオマスの活用について多面的に研究し、その効果を広く告知・教育します。
- 林業や農業の育成過程からのバイオマスを資源として地域で循環します。(間伐材、薪、ウッドチップ、木くず、わら、畜産廃棄物、生ゴミ、廃食油、他)
- バイオマス資源はその特性に応じ、多段階(カスケード)利用を行います。
例)木材→製材品→集成材→チップ→紙や燃料 - バイオマスの多段階利用促進のため、地域の異業種事業者や市民が連携します。
- バイオマスのエネルギー利用では、熱利用(エネルギー効率80%)を優先します。
- 有機廃棄物を資源や原料として使い、廃棄物を削減します。
取り組み事例
- 山鹿市バイオマスセンターによる、家畜糞、生ごみ、農業集落排水処理汚泥等(地域バイオマス)から生成させたメタンガスの動力活用
- 九州バイオマスフォーラムによる薪ストーブやペレットストーブの普及活動、薪の販売
- 自然と未来㈱による、廃食油から高品質のBDF燃料精製と、カーボンオフセットクレジット登録の品質保証で企業・団体・個人へ販売拡大
- 農業生産法人セブンフーズ(株)による糞尿処理発酵床でのストレスフリー養豚飼育と、食品リサイクル資源からの飼料製造
- 熊本県「木の駅プロジェクト」社会実験による間伐材や林地残材の活用促進
- 九州内13箇所で木質バイオマス発電の稼働
- 球磨焼酎リサイクリーン(株)による、焼酎かす全量の肥料・飼料原料化、及び設備内の燃料(アルコール)としてリサイクルする取り組み
- 玉名温泉・白鷺荘別館による生ごみ堆肥化と契約農家への有機野菜栽培の委託
- JA熊本うきの宇土健康土づくりセンターによる家畜ふんや、スーパー・食品工場からの食品残渣活用の堆肥生産と、地域農家への供給
事例1 地域の資源を活用する山鹿市バイオマスセンター
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人口約6万人、面積約300km²規模の山鹿市が運営する「山鹿市バイオマスセンター」は、堆肥化施設、液肥化施設、メタン発酵発電コージェネレーションシステムを持ち、平成17年から稼働しています。市民から生ごみを一週間に2回、各家庭に配布した生ごみ収集用のバケツで集め、畜産農家からは家畜ふん尿を収集しています。家畜ふん尿については施設内で固液分離し、固形分は堆肥化しています。作られた堆肥を地元農家が使い有機認証制度を導入して地元で販売する一環したシステムを構築しています。液分はメタン発酵でバイオガス(メタンガス)を精製し残った液は液肥となります。この液肥は近隣の農家で稲又は麦の栽培で、全量を余すことなく利用されています。精製されたバイオガスは、ガスエンジンによる発電及び熱生成を行い施設内で利用しています。また、この精製したバイオガスは、ガストレーラーによる運搬実証試験、混合による燃焼試験が行われ、都市ガス利用できることが確認されています。
(井上 智)
[/col][/row]事例2 薪づくり&チェーンソーワークショップ
[row id="ROW_ID" class="ROW_CLASS"] [col class="span4"] [/col][col class="span8"]九州バイオマスフォーラムでは、薪ストーブやペレットストーブの普及活動に力を注いでいますが、薪を確保する術を学ぶため、薪づくり&チェーンソーワークショップを定期的に開催しています。阿蘇中央高等学校(阿蘇清峰校舎)の校庭および演習林での実習へ参加しました。参加者は20代から50代の男女で、田舎暮らしを始めて薪ストーブを導入したという方や、本講習会へのリピーターも居ました。生徒の減少による整備不足の演習林も、この様な実習で手が入るという面もあります。植林された杉の間伐材と自生したクヌギを材料として、「NPO法人 ふるさと創生」からプロの林業家に講師に来ていただき、チェーンソー講習、玉切り実習等を学びました。30cmから40cmの玉切りにした杉やクヌギを軽トラで校庭まで運び、電気やエンジンの油圧薪割り機で割って出来上がった薪は、参加者各位で等分し持ち帰りますが、当校の2階図書室に大きな薪ストーブがあり、その分もちゃんと確保出来ました。薪は3度体を温める(伐採・薪作り、運搬、燃えて)と言います。森林の新鮮な空気で汗をかき、心地よい疲れと満足感がありました。
(井上 智)
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